命を燃やして生きていきたい

命を燃やして生きて行きたい

安売り王一代 私の「ドン・キホーテ」人生 安田隆夫

 

 

あの有名なドン・キホーテの創業者・安田隆夫氏の著作

岐阜の田舎のガキ大将が慶應大学に合格するもうまく馴染めず麻雀や肉体労働などで汗を流しながら「泥棒市場」を構え、一代にしてあの有名ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を築き上げるまでのストーリー


①「はらわた」

はらわたとは、もがき苦しむ力。
そして紆余曲折を経ても最後には這い上がろうとする力のことだと説く安田氏。
本書にキーが二つあるとしたらその一つはこの「はらわた」では無いかなと思う

安田氏はとにかく貪欲で妬みにまみれ内圧が強い。
世の中にはこういう人間が一定数いる。
何故だろう?
理由はいろいろあると思うけど、一つ考えられるのは青春期にある程度抑圧された経験をしたということ
安田氏の親は教師。
おそらく、勉強が嫌いだったという安田氏は両親から勉強を強制されていたことだろうと思う。
そして高校生活の最後に猛烈に勉強をして、岐阜の田舎町・大垣から上京し、慶應大学に入るも、慶應ボーイたちの洗練された姿に自信を失いすぐに学校へ行かなくなる。
抑圧から解放されて薔薇色の人生を送れると思った矢先にこの現実。
心情は手に取るようとわかる。
こう言った背景が安田氏に何くそ根性を植え付けた要因かなと思う


②「常識を信じない」


多数派を嫌い常にマイノリティに属していた幼少期。
何故そうなるのか、何故そうしなければならないのか、いちいち突っかかってくる子、学校にも一人はいたかな(笑)
そんな子だったという安田氏。
必然的に周りからは疎まれ、一匹狼として生きていくための力を養わざるを得なかったと思われる。
よく素直な子は伸びるっていうけれど、必ずしもそうでは無いのかも。
素直というのは人間社会においては「使いやすい」人間を意味する。つまり、世の中に出て一般的なサラリーマンとして働くのならむしろ必須なスキルなのかもしれない。
でも自分で自ら事業を起こす場合、すなわちトップの人間として身を振る場合は周りのアドバイス通りに行動していたら、周りに言われた通りの何もオリジナリティの無い仕事しかできない。
オリジナリティは常識を疑うところから始まる。


素直さについてちょっと考えてみる。
素直さって色々ある。
やれと言われてやる力、これが素直さ。でも逆に何も考えてないとも言える。やっぱり一度考えて、自分の中に落とし込んで、納得した上でやる。
こうすると同じ素直に見えても内情は異なる。
考えて落とし込む、隙あらば別の良い手立てはないか考える、こうした習慣が大事なのだと思う。
あと安田氏はこの天邪鬼さと素直さのバランスが取れていると思った。
既存の小売店のビジネスモデル「見やすく、取りやすく、買いやすく」の逆を行く「見にくく、取りにくく、買いにくく」を実践した結果、あの独特なジャングルのような陳列が完成した。
これはまさしく常識の逆を行く天邪鬼さの結果だと思う。
ただその一方で深夜営業による住民反対運動の際には素直に営業時間を変更し、周辺地域の環境整備活動に力を入れるなどある一定のフレキシブルさを持っている。
この辺りの攻めと守りのバランスの良さも成功の秘訣かなと思う

 

③「ネガティヴモード脱出法」

最後にこりゃ面白いと思えた安田氏の気分転換方法を記しておく。まず休みを取ります。4〜5日あれば十分だそう。
そして部屋のカーテン、雨戸を締め切り、電気も消して、一日中布団にくるまって「今の不安」と徹底的に向き合うというもの(笑)
下手すると精神的に逝っちゃうかもしれないけれど(笑)
勇気がある人はお試しあれ